綾辻行人と有栖川有栖の安楽椅子探偵ON STAGE の犯人当て
提出した解答の考察プロセスです(当然、ネタバレもふくまれます)
多くの人と同じように、私も最初は江坂犯人説でした。しかし、江坂に限定する論拠が薄く、ずっと違和感を持っていました。何か1つの手がかりで全てが変わってしまうようなそういう脆さです。まだ、映像には巧みに何かが隠されていると直感しました。だから、楽太の殺人現場の像に血痕がついていないことについて発見した時はとても驚きました。それならばと、安夫の殺人シーンをあたって安夫の着ていたマントに穴が空いていないことも確認できました。
楽太の事件において、像の血痕が新たに付けられていたことは、発見時の後で殺人が行われたことを暗示します。
すぐに、竹田説を考えました。
映像を見て、竹田の怪しい点はいくつか挙げられたのですが、楽太はともかく、安夫の殺人が可能であったとは思えませんでした。あと、竹田を疑うと竹田の鑑識報告が全く信用できなくなるというところが難点でした。
その後、笛美説を追いました。
竹田、東山のスキを見て、楽太の止めを刺すということはできるかもしれません。しかし、それだと楽太の死亡推定時刻の3時から4時に合いません。
これはどういうことなんだろう。気絶していたかもしれない楽太はともかく、マントに穴を空けずに安夫を殺すことは不可能なんじゃないか?
もしかして、安夫は生きている?
だったら、楽太も生きている?
もし、安夫が死んでいないのなら、緑橋を始めとする他の人達は嘘をついていることになる。楽太が死んでいないのなら、吹子を始めとする他の人達は嘘をついていることになる。このドラマは虚構だらけの世界なのだろうか。
その時、突然、全てがお芝居だったのだという仮説が浮かび上がりました。つまり、登場人物全員で「安楽椅子探偵ON STAGE」という劇を演じていたわけです。すると、面白いようにこれまで感じていた違和感が次々と氷解していくのです。疑問の多い竹田の鑑識結果、貸し切られた夜の喫茶店、休日の食堂での打ち合わせ…
ずっと、意味のわからなかった「ら…」「だ…」の会話が重要な論拠に上ってきたときには驚きました。
トリックによって今まで見ていた視点と異なったまったく新しい世界が開かれる---
いかにも綾辻先生らしい作品じゃないか
これらのことをまとめて解答として提出しました。
でも、正解しているのかどうかはわからないからね