Cayの趣味の日記

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藤井聡太四段の次の一手 (4)

藤井聡太四段が20連勝を飾った時の対局。相手は若手エース級の澤田真吾六段

 

 

藤井聡太四段の詰将棋解答能力は特筆すべきものがある。毎年、東京・大阪で行われる詰将棋選手権のチャンピョンズリーグでは最年少、小学6年生で優勝して以来、3連覇中である。多くの有名プロ棋士を含めた参加者の中で、制限時間90分のところ20分で解答を提出し、驚嘆させたこともある。

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そんな、藤井四段の終盤力の脅威が対戦相手の指し手を誤らせた一局を紹介する。

 

 

先手:藤井聡太 四段
後手:澤田真吾 六段

 

この対局は澤田六段が必死級の局面まで藤井四段を追い詰めた。下図はその一瞬の局面。藤井の玉の目前に金とと金が迫っている上に、澤田六段に銀の持ち駒が有るため受けは効かない。あとは澤田玉に迫り、詰ますことができるか、あるいはなんらかの手段で自玉の詰めろを解消するかにかかっている。ここでのコンピュータソフトの評価値は-1144。果たして逃れる順があるのだろうか。

 

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 上図から

▲3三成銀  △同 玉  ▲3四銀打  △4四玉  ▲2二角打  △3三銀打  ▲同 銀  △5五玉  ▲3二銀  △6四玉


と進んで下図(評価値 -1362)。

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ここで、藤井四段が狙いの勝負手を放つ。
その一手とは?

 

 

 

 

 

続きは↓↓

 


▲7六桂打 (評価値 -2420)

 

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藤井の勝負手

実はこの7六桂はコンピュータ的には評価値を-1000以上も下げる大悪手なのだ。コンピュータソフトでは5五銀を第一候補にあげ、その後、7五玉の応手に対して6六銀から澤田六段の金を外して詰みを逃れる順を示す。しかし、この順では手順に8五の桂馬を拾われ、アヤがなくなってしまい、勝負にはならないと藤井四段は考えたのだろう。

 

7六桂には詰みが無い。藤井四段も詰みが無いことを承知でこの手を指したのであろう。ここでの応手は7五玉か同金かの2択だ。澤田六段が7五玉と正しく応じていれば、評価値-3000近くとなり、藤井四段の負けであった。しかし、7五玉は如何にも詰みがありそうな形だ。しかも、指した人は詰将棋選手権チャンピョンリーグで圧倒的な成績で3連覇している藤井四段だ。思いの至らない手順で負かされてしまうのではないか?そういう不安も澤田六段の脳裏をよぎっただろう。

 

一方、7六桂を同金と取れば、澤田六段の玉の危険の紛れが解消する。安全策なら同金だ。しかし、同金とすると藤井四段の玉から金が離れ、藤井四段の必死も解消する。

 

1分将棋に追い込まれていた澤田六段の次の指し手は同金。7五玉は詰みと判断して指すことができなかった。同時にコンピュータの評価値が+113と、実に2500点近く反転した。つまり、藤井四段の7六桂は勝負の行方を相手に問う、一か八かの勝負手だったのだ。


この局面で1分将棋の澤田六段を責めるわけにはいかない。この局面に誘導した藤井四段を讃えるべきだ。

 

この一局はその後、藤井聡太四段に形勢が傾き、熱戦の末、藤井四段の勝利となった。この対局は今後も藤井の名勝負として語り継がれることだろう。