藤井聡太四段の次の一手 (1)
藤井聡太四段が29連勝を達成し、将棋の歴代連勝記録を更新した対局を将棋ソフトelmo with やねうら王最新版で解析した。局面ごとの評価をみることで、藤井四段の強さに迫りたい。
2017年6月27日 竜王戦
先手:藤井聡太 四段(勝ち)
後手:増田康宏 四段
図は48手目、増田四段が2二歩を同金と取った局面。先手藤井四段の手番
形勢は飛車の働きの差が大きく、増田四段の優勢の局面。ここで藤井四段が素晴らしい反撃の構想を見せる。
藤井四段の次の一手は?
答えは↓↓
▲7七桂 △8二飛 ▲6五桂 △6二銀 ▲7五角
5三の地点が弱点であることを見極めて、飛車取りに合わせて手順に桂馬を跳ね、急所に角を据えた。その後の畳み掛けも見事だ。
△3二金 ▲2二歩打 △3三桂 ▲同銀成 △同金 ▲1五角打 △3二銀
1五の地点にも角を据えて挟撃体制を構築した。
この2枚の角と桂馬による攻めの構想は最初の図の局面から描いていたものであり、藤井四段のセンスが光っている。
次の藤井四段の一手が高い評価を得ている。その一手とは?
▲5三桂打 △4三金 ▲2一歩成 以下、藤井四段の勝ち
玉を縛る▲5三桂打が好手。▲3三角成と▲4一金、▲6一金からの寄せを見ている。
▲2一歩成の局面では、このと金を銀で取ると▲3三角成が厳しく、取ることができない。その後、と金で銀を攻め、堅実な寄せで藤井四段の勝ちとなった。